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ぼくのかきのき

僕のかきの木

小川 未明

線上閱讀小川 未明《僕のかきの木(ぼくのかきのき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 2,186 字 · 5 頁

青空文庫

そこから、五、六間はなれたところに、太い親のかきの木が、立っていました。幾十年となく雨風にさらされてきたので、肌が荒れて、枝は、曲がりくねっていました。甘がきで、秋になると、実の上に白い粉をふいて、枝の先にるいるいとしてみごとにたれさがるのでした。

「清ちゃん、あの木の子だね。」

「甘がきだよ。賢ちゃんにあげるから、持っていって植えておきよ。」

清次は、力いっぱいにその木を引っ張りました。すると、根は、深く入っていたとみえて根本から一、二寸、下のところで、ぽきりと切れてしまいました。

「あっ、切れてしまった。」

「惜しいことをしたね。」

「こんな、きんぼ根ではつかないね。」といって、清次は、畑の外へ、その若木を捨ててしまったのです。

賢吉は、じっとそれを見ていましたが、このまま枯らしてしまうのをかわいそうに思いました。また、助けて、つくものとすれば、神さまに対して、すまないことであると感じたのです。賢吉は、走っていって、拾い上げました。

「清ちゃん、僕、この木をもらっていってもいいの。」と、聞きました。

「賢ちゃん、うまくすれば、つくかもしれないよ。」と、清次は、自分が、手荒にしたのをべつに後悔するふうもなかったのです。