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げんろくじゅうさんねん

元禄十三年

林 不忘

線上閱讀林 不忘《元禄十三年(げんろくじゅうさんねん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 20,586 字 · 42 頁

青空文庫

いや、逸物、尤物――なんぼ人形食いの殿様でも、これがお気に召しませんようでは、今後こういう御相談は、平茂、まっぴら御免、なんて、前置きが大変。」

「ううむ、どうしてくれよう。」

急に吉良は、両手を握りしめてうつ向いたが、すぐ蒼白く笑って、

「美濃か。美濃か。はっはっは――そうさのう、伴れてまいれ、その女を。」

二

弊風、という字を、美濃守は、宙に書いては消していた。

上野介が、三州吉良大浜で四千二百石を食み、従四位少将の位にあるのは、殿中諸礼式の第一人者だからだった。そして、役目のなかには、もっぱらこの天奏饗応などに際して、慣れない役に当たった大名の面倒を見、万端手落ちのないように勤めさせることが、含まれていていいはずだった。

それなのに、近年――贈るほうもおくるほうだが、うけとるほうも受け取るほうだ、と美濃守は、弛緩しかけた幕政のあらわれの一つのように思えて、憂憤を禁じえなかった。

個人的にも美濃守はあの吉良という人間に普段から、何かしら許しておけないものを感じてきていた。

手違い、不便、吉良の手によって続けさまに、それらの障害が投げられるであろうことは承知の上で――と、美濃守は、ふたたび、弊風、それに、打破の二字を加えて、自分を鞭撻するように、こころに大書した。