輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
線上閱讀国枝 史郎《八ヶ嶽の魔神(やつがたけのまじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 160,664 字 · 323 頁
十人の武士が逼って来た。
やにわに飛び込んだ葉之助は、切りよい左手の一人の武士を、ザックリ袈裟に切り倒した。とたんに自分もツルリと辷り、バッタリ俯向けに床へ倒れた。
ワッと叫んだ残りの九人、乱刃を葉之助へ浴びせかけた。一髪の間に葉之助は寝ながら刀で足を払った。一刀流の陣所払い! 負けたと見せて盛り返し、一挙に多勢を屠る極意、しかし普通の場合には、卑怯と目して使わない。死生一如と解した時、止むなく使う寝業であった。
果然九人は一時に、足を薙がれてぶっ倒れた。
飛び上がった葉之助、なだれる信徒の後を追い戸口の方へ突撃った。そうして「面部斬り」――で斬り立てた。
胆を冷やさせる「面部斬り」――相手の生命を取るのではなく、獅子が群羊を駆るように、大勢の中へ飛び込んで、柄短かの片手斬り、敵の顔ばかりを中るに任せ、颯々と切る兵法であった。伊藤一刀斎景久が、晩年に工夫した一手であって、場合によっては刀を返し、柄頭で敵の鼻梁を突き、空いている方の左手で、敵の人中を拳当て身! ただしこの術には制限があって、誰にも出来るというものではなかった。すなわち片手で自由自在に、大刀を揮うだけの膂力あるもの、そうして軽捷抜群の者と自ら定められているのであった。