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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
線上閱讀国枝 史郎《八ヶ嶽の魔神(やつがたけのまじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 160,664 字 · 323 頁
彼は薬壺を取り出した。
「いや、ともかくも明日にしよう」
思い返して寝ることにした。
で、薬壺を棚へ載せ、襖を立てて寝る用意をした。
翌朝早く眼を覚ました。
旅籠を出ると駕籠へ乗り、葉之助の屋敷へ急がせた。
玄関へ立って案内を乞うた。すぐに小侍が現われた。
「葉之助殿ご在宅かな」
「は、昨晩出かけましたきり、いまだにお帰りございません」
「ふうん」と云ったが北山は、小首を傾げざるを得なかった。
二五
旅籠へ帰って来た北山は考え込まざるを得なかった。
「葉之助殿はどうしたろう?」
何んとなく不安な気持ちがした。手を膝へ置いて考え込んだ。
「鶯谷で擦れ違った、昨夜の若い侍は、葉之助殿に相違ない。あれからきっと葉之助殿は、下屋敷警護に行かれたのだろう。さてそれから? さてそれから?」
――それからのことは解らなかった。
だが何んとなく下屋敷附近で、変事があったのではあるまいかと、気づかわれるような節があった。
「まさかそんなこともあるまいが、帯刀様のお屋敷へでも誘拐されたのではあるまいか」
ふとこんなことも案じられた。
「絶対にないとは云われない。彼らの陰謀を偶然のことから、俺が目付けて邪魔をした。