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とううん

凍雲

矢田 津世子

線上閱讀矢田 津世子《凍雲(とううん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 14,121 字 · 29 頁

青空文庫

――仙太はこう言って、お高の手を握り締めた。お高は、握られないほうの手で、仙太の手をさすった。

「あんたは、山へばかり行ってるって?」

と、お高は小さい声できいた。

「ああ、昼間は家にいるのが辛いんだ。お父やお母とは気持がしっくりせんしな。それに、町を歩いていても、町の人はみんな変な眼で俺を見る。今もな、床屋さ行って髭剃ってきたが、俺が、入って行ったら、みんな帰ってしまうんだ。皆が皆、この俺を白い眼で見る。すると、俺は、何敗けてなるもんか、という気になってくる。今の俺にはお前さえあれあなあ。お前さえ俺を信じていてくれれあ千人力だ。世間の奴等糞くらえだ。それに先生だって付いててくれるもんなあ」

お高は仙太の顔へ手をやった。

「ほんとに、きれい!」

「お前に逢うためによ。床屋の親方、どんな気持ちで剃刀あてたかな」

仙太は低く笑った。そして、お高を強く抱擁した。

急に二人は風が歇んだと思った。併し、それは、黒がいつのまにか二人の傍に来ていたのだった。

「黒じゃないの。よしよし」

お高は頭を撫でてやった。黒はクンクン、鼻をならして、その手を舐めまわした。

仙太は話を続けた。