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とううん

凍雲

矢田 津世子

線上閱讀矢田 津世子《凍雲(とううん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 14,121 字 · 29 頁

青空文庫

人が出盛る。

この物語りは、漸う山々が白くなりだした頃からはじまる。この頃の季節には、近くの八郎潟からあがったばかりの白魚だの小鮒だのが、細い藻なんどのからんだまま、魚籃から一桝いくらで量られる。雷魚売りの呼び声が喧ましくなるのも、もう、直ぐである。買い手は、ブリコ(卵)のたっぷりとはいったところを素早く選み分けようとして、売り手との間に小さな諍いが起る。

蕈を売る女衆が、ひっきりなしに呼びかける。奥山から背負ってきた小粒のなめこが多い。枯れた葉っぱがくっついていたりして、それなり量っているのを見て、買い手は笑いながら文句をつける。そして、ひとつまみばかり、まけさせる。

この物売りたちの中にまじって、町の小商人たちも店を張る。下駄屋だの、太物屋だの小間物類の雑貨屋だの……。

市の日は、飲み屋の書き入れ時で、うす汚れの暖簾をぴらぴらさせた屋台がいくつも並ぶ。まだ荷もあけないうちから、濁酒をひっかけに行っている若い衆もある。酔った揚句の張り高声をあげて、荷も忘れて、あちこち浮かれ歩いたりしている。このような飲み助の相棒は、あぶらやの仙太親爺ときまっている。