輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しゅっせ
出世
菊池 寛
線上閱讀菊池 寛《出世(しゅっせ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 8,840 字 · 18 頁
小男の順番に当っている時、大男の方へ下駄を差し出した場合も、やっぱりそうであった。彼らは、下足の仕事を正確に二等分して、各自の配分のほかは、少しでも他人の仕事をすることを拒んだ。入場者の場合は、それでもあまり大した不都合も起らなかったが、退場者の場合に、大男の受札の者が、五、六人もどやどやと続けて出て、大男が目の回るように立ち回っている時などでも、小男は澄まし返っていて、小さい火鉢にしがみつくようにして、悠然と腰を下していた。が、大男の方も、小男の手伝いをせぬことを、当然として恨みがましい顔もしなかった。
譲吉は、その頃よく彼らの生活を考えてみた。同じ下足番であっても、劇場の下足番や寄席の下足番とは違って、華やかなところが少しもなかった。その上に彼等の社会上の位置を具体化したように、いつも暗い地下室で仕事をしている。下足番という職業が持っている本来の屈辱の上に、まだ暗い地下室で一日中蠢いている。勤務時間がどういう風であったかは知らないが、譲吉が夜遅く帰る時でも、やっぱり同じく彼らが残っていたように思う。来る年も来る年も、来る月も来る月も、毎日毎日、他人の下駄をいじるという、単調な生活を繰り返していったならば、どんな人間でもあの二人の爺のように、意地悪に無口に利己的になるのは当然なことだと思った。