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しょや
初夜
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《初夜(しょや)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 17,384 字 · 35 頁
「その血のりはけがか」
「いや返り血だ」と久良馬は云った、「――二人を逃がした以上このまま腹は切れない、これから屋敷にたてこもって、討手とひと当てやるつもりだ、久保貞造、板土友次郎、丸茂源吾らが来る」
「いっしょにたてこもるのか」
「断わったのだが承知しなかった、人数はもっと多くなるかもしれない、ここへ寄ったのはそれを断わるためだ」と久良馬は云った、「――脇屋は妹と婚約しているが、初めからおれの説には反対だった。もし脇屋が来れば、桃世の縁にひかされたといわれる、それは脇屋にもおれにも迷惑だ、わかるだろう」
「考えてみるよ」
「いやその必要はない、おれははっきり断わる」と久良馬は云った、「――それから、妻と子はやむを得ないが妹は死なせたくない、桃世を引取ってもらいたいんだが、どうだ」
「もちろんだよ、云うまでもない」
「それで定った、頼むぞ」
こう云って久良馬は大股に去った。
代二郎はそのうしろ姿を見送った。去ってゆく久良馬の袴の裾のところが、横に五寸ばかり切り裂かれていて、そこから歩くたびに下の着物が見えた。久良馬は門を出るとすぐ右へ、振向きもせずに去っていった。