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わかれたるつまにおくるてがみ

別れたる妻に送る手紙

近松 秋江

線上閱讀近松 秋江《別れたる妻に送る手紙(わかれたるつまにおくるてがみ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 51,985 字 · 103 頁

青空文庫

」

「その人も学校に行っていたんだろうが、その時分何処の学校に行っていたんだ?」

「さあ、よく知らないけれど、師範学校とか言っていたよ。」

「師範学校? 師範学校とは少し変だな。」私は、女がまた出鱈目を云っているのか、それとも、そう思っているのか、と、真個に教育の有無をも考えて見た。

「でも師範学枚の免状を見せたよ。」

「免状を見せた。じゃ高等であったか尋常であったか。」

「さあ、そんなことは何方であったか、知らない。」

「その人は国は何処なんだ。年は幾つ? 何と言うの?」

「熊本。……今二十九になるかな。名は吉村定太郎というの。……それはなか/\才子なの。」

「ふむ。江馬という人と何うだ?」

「そうだなあ、才子という点から言えば、そりゃ吉村の方が才子だ。」

「男振は?」

「男は何方も好いの。」と、普通に言った。私は、それを開いて、腹では一寸妬けた。

「何うも御馳走さま! ……宮ちゃん男を拵えるのが上手と思われるナ。……そりゃまあ、学生と娘と関係するなんか、ザラに世間にあることだから、悪くばかしは言えない。が、其の吉村という人とそんな仲になって、それから何ういう理由で、その男を逃げ隠れをするようになったり、またお前が斯様な処に来るような破目になったんだ?」