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ほくととなんとせい

北斗と南斗星

田中 貢太郎

線上閱讀田中 貢太郎《北斗と南斗星(ほくととなんとせい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 2,279 字 · 5 頁

青空文庫

旅人の言ったとおりずんぐり肥った二人の男が碁を囲んでいた。

少年はそっとそのそばへ往って二つの盃へ酒を入れ、それに添えて鹿の肉の切ったのを置いた。二人の男は一生懸命になって碁盤の上を見つめていたが、無意識にその手が盃のほうにゆくとそれを取りあげて飲んだ。盃の合間には鹿の肉をとって口にした。酒がなくなると少年はそれを満たした。

そのうちに碁の勝負が終った。北側に坐っていた方の男が顔をあげたが、少年を見つけると怒鳴った。

「たれだ、そこでなにをしているのだ」

少年は黙ってお辞儀をした。南側に坐っている男が言った。

「この少年は、生命を延ばしてもらおうと思って、酒と鹿の肉を持ってきて二人に御馳走しているのだ」

「馬鹿」

北側に坐っていた男はまた少年の方を見て怒鳴った。

「人から、一摘みのものをもらって食っても恥だのに、酒や肴を御馳走になっている、怒ったところでおっつかない、どうかしてやったらいいだろう」

「駄目だ、もう帳面にのっている、変えることはできない」

「どう書いてある、ちょっと見せてくれ」

南側の男が手を出すと、北側の男が懐から帳面を出して渡した。南側の男はその帳面を繰った。