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きたかぜにたこはあがる

北風にたこは上がる

小川 未明

線上閱讀小川 未明《北風にたこは上がる(きたかぜにたこはあがる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 4,249 字 · 9 頁

青空文庫

」と、不平をいいました。

賢二は、心の中で、お母さんのおっしゃることは、正しいと思ったけれど、

「きよは、とんまなんだよ。」といって、具合の悪いたこを買ってきたので、腹立たしそうにこういいました。

「そうよ、ものはこわすし、あまり、りこうではないわ。」と、二人は、いっしょになって、きよの悪口をいっていました。

*   *   *   *   *

ある日のことです。賢二が、ふとお勝手から外を見ると、物置の蔭のところで、きよがあちらを向いて、手紙を読みながら、ときどき目をふいていました。

「泣いているのだな。また、田舎の親から、お金を送れと、いってきたのかしらん。」と、賢二は、思うと、かわいそうになりました。

きよの田舎は、遠い、東北のさびしい村でありました。家が貧乏なのに、不作がつづいて、ますます一家は、苦しい生活を送っているので、きよは、毎月もらうお給金のうちから、幾何かを送って、親を助けているのですが、それでも足りないとみえて、よく無理と思われるような手紙をよこすのです。

「おまえも、かわいそうだね。」と、お母さんは、きよに同情していらっしゃったのでした。