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きたかぜにたこはあがる

北風にたこは上がる

小川 未明

線上閱讀小川 未明《北風にたこは上がる(きたかぜにたこはあがる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 4,249 字 · 9 頁

青空文庫

自分の読んでしまった雑誌でも、きよが帰るときに、弟さんへ持っていってもらおうかな、などと考えていました。

きよは、その日の夜行で立つことになりました。常なら、はじめて田舎へ帰るので楽しかろうものを、打ち沈んでいる顔つきを見ると、かわいそうでなりませんでした。お姉さんと、賢二は、停車場まで、見送っていきました。

「お父さんが、たいしたことがなかったら、早く帰っておいで。」と、お姉さんは、きよをなぐさめていらっしゃいました。賢二は、また、心の中で、きよに、わがままをいって悪かったと後悔していました。きよは、そんなことをなんとも思っていないようすで、汽車が動き出すと、さも名残惜しそうに、幾度となく頭を下げて、遠ざかってゆきました。

翌朝のこと、お姉さんは、いつもより早く起きて、お母さんのおてつだいをいたしました。

「なかなか感心だ。」といって、お父さんは、おほめになりました。

「これが、幾日もつづけば、ほんとうに、えろうございますが。」と、お母さんは、笑っておっしゃいました。しかし、お膳を出すときに、はや、お姉さんは、茶わんを一つ割りました。

「大事な茶わんを割りましたね。