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ちどり
千鳥
鈴木 三重吉
線上閱讀鈴木 三重吉《千鳥(ちどり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 19,951 字 · 41 頁
という。いっしょに行ってみたいという念がそぶりに表われている。門を出しなに振り返ると、藤さんはまだうろうろと立っている。
「お早くお帰りなさいましな」
「ええ」と自分は後の事は何んにも知らずに、ステッキを振り廻しながらとことこと出て行ったけれど、二人はついにこれが永き別れとなったのである。
もちろんこの時には、借りた着物はもう着換えていた。着換えるまで自分は何の気もなしにいたけれど、こうして島の宿りに客となって、女の人の着物を借りて着たのかと思うと、脱ぐ段になって一種の艶な感じが起った。何だかもう少し着ていたいようにも思われた。そして、しばらく羽織の赤い裏の裏返ったのを見守った。自分の家なぞでは、こんな花やかな着物を脱ぎ捨ててあることはついに見られない。姉は十一で死んだ。その後家じゅうに赤い切れなぞは切れっ端もあったことはない。自分の家は冬枯れの野のようだとつくづくそう思う。そのうちにふと蛇の脱殻が念頭に浮んだ。蛇は自分の皮を脱いで、脱いだ皮を何と見るであろうかと、とんでもないことを考えだした時、初やがやってきて、着換えた着物を持って行った。
今自分は、その蛇が皿を巻いたような丘の小道をぐるぐると下りて行く。