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はんしちとりものちょう
半七捕物帳
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《半七捕物帳(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 15,208 字 · 30 頁
これも御用だ。堪忍してくんねえ」
徳寿を帰してやって、半七はしばらく考えた。いろいろの材料がそれからそれへとあつまって来ながら、彼はそれを取りまとめて一つの断案を下すことが出来なかった。一体自分は何を調べているのか、それも確かな見当は付いていなかった。取り留めのない按摩の話を手がかりにして辰伊勢の寮を探ろうとしているうちに、辻占売りの娘の駈落ち事件に突きあたった。この二つが結び付いているものか、或いはまったく無関係の出来事か、それもまだ想像が付かなかった。折角調べあげたところで、それが果たしてどれほどの効果を生み出すか、それも一切判らなかった。併し一種の好奇心ばかりでなく、半七はどうも此の事件をそのままに投り出してしまいたくなかった。なんだか此の事件には深い奥行きがありそうに思われてならなかった。
「骨折り損だと思って、もう少しほじって見ろ」
彼は上野の山下まで用達に行って、すぐに家に帰ろうとしたが、また思い返して入谷田圃へ足を向けた。雪あがりの底冷えのする日で、田圃へ出る頃にはすっかり暮れてしまった。お荷物になる傘をさげて、雪解け路を一と足ぬきに歩きながら、辰伊勢の寮のそばまで来ると、門のなかから一人の女が出て来た。