輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

なんぽうゆうしん

南方郵信

中村 地平

線上閱讀中村 地平《南方郵信(なんぽうゆうしん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 20,899 字 · 42 頁

青空文庫

また、誰もいない放課後の教室へあがりこんで、黒板に「ナガトモセンセイ」という字をいくつも書き並べて、悦に入ることもある。

お浜はいつも垢のたまった、裾が地べたを引きずるような、裾の長い紺絣の着物を着て、赤いメリンスの帯を小娘のようにだらしなくしめている。そして、時折り昔住んでいた豆腐屋の裏口にのっそりと姿を現わす。

「なんか、仕事があれば、してやろかい」

そして、それは長友先生が二階にいる時刻に決まっている。

いったい源吉爺さんは、性こりのない性分であるが、家鴨で旦那に叱られたことは、けろりと忘れたように、また、ある時三太をそそのかした。

「アコン、旦那に言って七面鳥を飼って貰いなさらんか。七面鳥の顔はいくえにも変って面白いですど」

しかし、その時も爺さんは旦那にこっぴどく叱られてしまった。

「七面鳥は郡長の奥さんじゃ。あんな横柄な鳥はわしゃ好かん」

郡長夫人は以前一度、旦那の家を訪ねてきた事があった。奥さんに愛国婦人会に入ることをすすめるためである。隣り町から夫人は人力車で乗りつけてきた。俥の幌を外ずさせ夫人は紫陽花色に澄みわたった初夏の空に、パラソルをぬっとかざしていた。