輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ふるきミニエチュア

古き小画

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《古き小画(ふるきミニエチュア)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 70,298 字 · 140 頁

青空文庫

それは、若者の顔を見ることさえ出来たら、そして、そこに何か血縁の類似がありさえしたら、きっと逆に母親の顔も忽ち思い出せよう、それで両方一度に明かになるという考えであった。ルスタムは、天幕に顔をつけ、息を殺し、賤しい奴僕のような態度で内部を覗いた刹那、何か頼りない衝動を感じた。彼が、当にならないことと思いながら当にしたものは、若者の顔から射出していなかった。何も彼の直覚を一握りで捕えるようなものはない。ただ雄々しそうな、育ちのよさそうな、一人の若者の容姿が、静かに順々に、彼の切な瞳に映って来るばかりだ。

ルスタムは、暫く瞠(みつ)めた後、またそっと上体を地面に倒した。頬杖をついて眠っている一人の兵が、寝がえりを打ってルスタムの脇腹に触れた。ルスタムは、じっと考えながら、少し体をずりよけた。あの若者の細面てなところが、何処か、あの女と似てはいないだろうか? いやいや、一体にツラン人は面長だ。この若者に限ったことはない。然し、牽きよせられるように、ルスタムはまた膝で起き上った。そして、眼をすりつけるようにして、内を覗いた。彼にはどうしても、一度視た限りで思いきれない心があった。