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ふるむじな
古狢
泉 鏡花
線上閱讀泉 鏡花《古狢(ふるむじな)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 19,891 字 · 40 頁
」
「…………」
「どこからか、細目に灯が透くのかしら?……その端の、ふわりと薄ったい処へ、指が立って、白く刎ねて、動いたと思うと、すッと扉が閉った。招いたような形だが、串戯じゃあない、人が行ったので閉めたのさ。あとで思ってもまったく色が白かった、うつくしい女の手だよ――あ、どうした。」
その唇が、眉とともに歪んだと思うと、はらりと薫って、胸に冷り、円髷の手巾の落ちかかる、一重だけは隔てたが、お町の両の手が、咄嗟に外套の袖をしごくばかりに引掴んで、肩と袖で取縋った。片褄の襦袢が散って、山茶花のようにこぼれた。
この身動ぎに、七輪の慈姑が転げて、コンと向うへ飛んだ。一個は、こげ目が紫立って、蛙の人魂のように暗い土間に尾さえ曳く。
しばらくすると、息つぎの麦酒に、色を直して、お町が蛙の人魂の方を自分で食べ、至極尋常なのは、皮を剥がして、おじさんに振舞ったくらいであるから。――次の話が、私はじめ、読者諸君も安心して聞くことを得るのである。
一体、外套氏が、この際、いまの鹿落の白い手を言出したのは、決して怪談がかりに娘を怯かすつもりのものではなかった。近間ではあるし、ここを出たら、それこそ、ちちろ鳴く虫が糸を繰る音に紛れる、その椎樹――(釣瓶おろし)(小豆とぎ)などいう怪ものは伝統的につきものの――樹の下を通って見