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うもんとりものちょう

右門捕物帖(一)

佐々木 味津三

線上閱讀佐々木 味津三《右門捕物帖(一)(うもんとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 220,431 字 · 428 頁

青空文庫

ことには握りずしを二十個も平らげて、これからゆるゆると昼寝をしようといったんですから、右門を信ずることだれよりも厚く、また右門を崇拝することだれよりも厚い伝六にしても、これはかんかんになっておこるのがもっともなことにちがいないのです。

けれども、それらのいぶかしい右門の態度も、夕がたが来るとすっかりなぞが解けてしまったんですから、やはりこれは、われわれの親愛なる右門にあなごと蛤を二十個平らげさせてゆるゆる昼寝をさせたほうがましなくらいなものでありました。なぜかならば、あれほどかんかんにおこって行った伝六が、その夕がたになるとしょうぜんとしょげ返って、いかにもきまりわるげに帰ってきたからでありますが、ただきまりわるげに帰ってきたばかりでなく、伝六は力なくそこへべたりとすわると、いきなり両手をついて、まずこんなふうに右門にわびをいったものです。

「さすがはだんなでござんした。さっきはつい気がたっていたものでしたから、聞いたふうなせりふをほざきましたが、どうもご眼力には恐れ入りやした」

すると、右門は縁側でひと吹き千両の薫風に吹かれながら、湯上がりの足のつめをしきりとみがいていましたが、にたりと微笑すると、いたわるようにいいました。