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うもんとりものちょう

右門捕物帖(一)

佐々木 味津三

線上閱讀佐々木 味津三《右門捕物帖(一)(うもんとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 220,431 字 · 428 頁

青空文庫

それも、洗った証跡があばたの敬四郎と一致していなかったならば、まだ右門一流の疾風迅雷的な行動と、人の意表をつく機知奇策によって、多分に乗ずべきすきがないでもなかったが、恒藤権右衛門を理由なくして虐殺したことすらも、刀屋でわきざしを買いととのえた事実とともに総合してみれば、中仙道へ走るための路用金略奪に行なった犯跡に考えられましたものでしたから、これではもう右門とてさじを投げるより道はないので、加うるにご奉行のお手札までも、すでにあばたの敬四郎に占取されていることがわかったものでしたから、回天動地の大事件ならば格別、たったひとりの破牢罪人ぐらいのめしとりで、そう何人もの出動は許されないことを知っている右門は、とうとう苦笑して、つぶやくように言いました。

「珍しいこともあるもんだ。おれがあばたのやつに負かされるなんて、さるが木からおっこちたより、もっとおかしいよ」

でも、右門にはまだしゃくしゃくとして、それをつぶやくだけの余裕がありましたが、伝六は黙然と歯ぎしりをかみつづけたままで、さながらふたりの位置は、むっつり屋とおしゃべり屋とが、入れ替わったようなかっこうでありました。