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うもんとりものちょう

右門捕物帖(三)

佐々木 味津三

線上閱讀佐々木 味津三《右門捕物帖(三)(うもんとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 241,558 字 · 480 頁

青空文庫

しかし、あるべきはずの死骸はもうないのです。

「ちくしょうめッ。あば敬ですよ。あば敬がどっかへ隠したにちげえねえんですよ。けさ見たときゃ、ちゃんとこのわにぐちの下に長々とのけぞっていたのにね。やつめ、あっしどもがこっちへ回ってくるのを気がつきやがって、意地わるくもうかたづけさせたにちげえねえんですよ」

むろん、それに相違ないと思われましたが、名人はゆうゆう淡々、顔色一つ変えずに、さっさとやっていったところは、お堂わきに雲つくばかりそびえ立っている三本榎のそばでした。ぎろり、目を光らしてその幹を調べると、ある、ある、まんなかのひときわ太い幹のひと目にかからぬうしろ側に、寸分違わぬ真新しいわら人形が、ぶきみにくぎづけとなっているのです。しかも、裏側の文字までがそっくりなのでした。急という不思議な文字を同じように、一つ書いて、その下にやはり巳年の男、二十一歳と、なぞのごとくに書いてあるのです。おもむろにそれを懐中するや、不意も不意なら意外も意外、じつにすさまじい右門流の命令が飛びました。

「十手だッ。十手だッ。伝の字、十手の用意しろッ」

ひらり駕籠に乗ると、命じた先がまたさらにどうも容易ならぬ右門流でした。