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うもんとりものちょう
右門捕物帖(二)
佐々木 味津三
線上閱讀佐々木 味津三《右門捕物帖(二)(うもんとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 221,941 字 · 435 頁
「油もそちがつけたか」
「いいえ、それがどうも妙なんでござりまするよ。この丁子油のしみた毛束に、そこへ使ってある戒名の書いた丈長を向こうからお持参なさいまして、至急に十七、八歳ごろの人形をこしらえろとのご注文でござりましたので、少し気味がわるうござりましたが、手もとにちょうどその年ごろなのがござりましたゆえ、そのままお言いつけどおりにいたしましてござります」
「いつじゃ」
「つい三日まえでござりました」
「注文先も存じおろうな」
「へえい。吉原の蛸平様とおっしゃる幇間のかたでござりました」
――いよいよいでて、いよいよいぶかし! 注文主は名まえも奇態な吉原幇間の蛸平とありましたから、時を移さず右門の行き向かったところは、九番てがらの達磨霊験記で詳しく地勢を述べておきました見返り柳の、あの柳町なる旧吉原です。怪猫のあとをつけていったのもむろんのことでしたが、しかし、伝六というしろものは、およそ罪のないあいきょう者でした。外はもうやがて丑満にも近い刻限だというのに、一歩大門を廓へはいると、さすがは東国第一の妖化咲き競う色町だけがものはあって、艶語、弦歌、ゆらめくあかり、脂粉の香に織り交ざりながら、さながらにまだ宵どきのごときさざめきをみせていたものでしたから、今まで息の根も止まっていたのではないかと思われるほどに静まり返っ