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うもんとりものちょう

右門捕物帖(二)

佐々木 味津三

線上閱讀佐々木 味津三《右門捕物帖(二)(うもんとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 221,941 字 · 435 頁

青空文庫

ほら、黒とかいったな、おまえにこいつあいただかしてやるから、生々世々までおまえの命があるかぎり、お嬢さんだと思って守っていなよ」

投げ与えてやると、愛するものにめぐり会いでもしたかのごとく、黒ねこがニャゴウゴロゴロ、ゴロゴロニャゴと、のどを鳴らしつつ髪の毛をくわえながら、いずれかへいっさんに走り去りましたので、われらの名人の秀麗な面に、はじめて莞爾と大きな笑みが浮かぶといっしょに、ずばりと命令が下りました。

「さ! 伝六ッ、駕籠だ、駕籠だ!」

「ちぇッ、ありがてえッ。いまに出るか、いまに出るかと、さっきからなげえこと、しびれをきらしていたんですよ。だんなの分が一丁ですね」

「二丁だよ」

「えッ! じゃ、あっしが兄貴分の役得で、乗られるんですね」

「のぼせんな! こちらのお人形お大尽がお召しになるんじゃねえか」

「ほい、また一本やられたか。なんでもいいや、だんなのお口から駕籠が出りゃ、おいら、胸がすっとするからね。じゃ、辰ッ、おまえもひざくりげにたんと湿りをくれておけよ」

こうなると伝六なかなかにうれしいやつで、骨身も惜しまずたちまち揚げ屋の表へ、くるわ駕籠を二丁見つけてまいりましたものでしたから、いよいよ捕物名人の第十五番てがらが、丁子油ならぬ溜飲下げのにおいをそろそろと放ちだしました。