輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

めいじんじごく

名人地獄

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《名人地獄(めいじんじごく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 149,286 字 · 301 頁

青空文庫

「怪しい怪しい」

と、銀之丞は、いよいよその眼をそばだてた。

しかしこれらはよい方であった。そのうちとうとう銀之丞は、恐ろしいことを発見した。

というのは他でもない。四つの出邸を繋いでいる廊下が、十字形をなしていることであった。

「おおこれは十字架の形だ!」

つづいて連想されたのは、ご禁制吉利支丹のことであった。

「ううむ、それではこの邸は、邪教の巣窟ではあるまいか」

さすがの彼もゾッとした。

「これは大変だ。逃げなければならない」

しかし逃げることは出来なかった。

出邸にこもった数十人の者が、夜も昼も警戒していた。

「ああこれこそ自縄自縛だ。出邸に人数を配ったのは、他でもないこの俺だ。その人数に見張られるとは、なんという矛盾したことだろう」

止どまっていることは破滅であった。しかし脱出は不可能であった。ではいったいどうしたらいいのか?

銀之丞の様子の変ったことに、彼らが気づかない筈がない。

ある夜丑松と九郎右衛門とが、九郎右衛門の部屋で囁いていた。

何をいったい囁き合ったのか? 何をいったい相談したのか? それは誰にもわからなかった。とはいえ、いずれ恐ろしいことが、囁きかわされたに相違ない。