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あいこくしんわたしはこうおもう

和人は舟を食う

知里 真志保

線上閱讀知里 真志保《和人は舟を食う(あいこくしんわたしはこうおもう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 70,567 字 · 144 頁

青空文庫

舟を磯に近よせてみると、夢にも忘れぬ妻の顔であった。狂喜して磯に飛び上ったところ、女はびっくりして後も見ずに逃げだしたので、若者は大声で女の名を呼びながら追って行くと、女は日ごろ人々が恐れて近よらぬ洞窟の中へ逃げこんだ。若者も続いて飛びこんでみると、ふしぎなことに洞窟の中は真暗でなく明るい。しかも立派な部落が見えていて、女はその方へどんどん逃げていく。若者も後を追って走って行くと、そこには死んでしまったはずの人々ばかりいる。そのうち一軒の家から一人の老人が出て来て、

「ここはまだ、おまえの来るところではない、早く帰れ!」

と云って、いくら頼んでもききいれてもらえず、とうとう追い返されてしまった。

新しい妻の姿を見ながらむなしくヨイチに帰った若者は、失望のあまりそれきり仕事も手につかず、ブラブラしているうちに死んでしまった。それ以来この洞窟をこの世を終って地獄へ行く路の入口といって、終る道の口といい、近よる者がなくなったという。(『余市町郷土誌』所載――『北海道伝説集、アイヌ篇』107―8ページ)

「地獄へ行く路の入口といって、終る道の口といい」はすっきりしない云い方である。