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よんじゅうはちにんめ
四十八人目
森田 草平
線上閱讀森田 草平《四十八人目(よんじゅうはちにんめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 56,183 字 · 112 頁
小平太はしばらくそこに立っていたが、だいぶ手間が取れるらしく、奥からは何の沙汰もない。この間だ! この間にそこらを見廻ってやれとも思ったが、さっきの失敗に懲りているので、もし自分のいない間に出てこられでもして、申し開きが立たなかったら、それこそ百年目だ! なに、まだ帰途もあることだと、じっと辛抱しているうちに、やっと奥で手の鳴る音がした。それを聞くと、例の爺さんはそそくさと襖を明けてはいって行ったが、すぐにまた取って返して、
「待ち遠であったな。この中に御返事が入っているそうだ。よろしくと伝えてくりゃれ」と、小平太の持ってきた状箱を渡した。
「畏承りましてございます。そのほかにお言伝てはござりませぬか」
「うむ、これを持ってまいれば分るそうだ」
「さようでございますか、どうもお邪魔いたしました」と、小平太はお叩頭をして、そのまま表へ出た。
さあ、これからはもう帰るばかりだ。が、これだけではせっかく来た甲斐がないような気もした。第一、同志の連中が何と言うか知れない。彼には何よりも同志の思わくが気になった。で、右へ行けば表門へ出るのを、わざと左へ取って、角の土蔵について廻ってみた。