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よんじゅうはちにんめ
四十八人目
森田 草平
線上閱讀森田 草平《四十八人目(よんじゅうはちにんめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 56,183 字 · 112 頁
あの女も後でそれを聞いたら、俺のことをさのみ悪くは思うまい。――
「そうだ、俺はもう断じて逢わないぞ」
そう心に誓った時、彼はやっと安心して横になった。そして、眼を瞑ったまま、
「なに、俺はただ眼を瞑って吉良邸へ飛びこみさえすればいいのだ」と呟いた。「その後は生きるも死ぬるも向う次第だ。お上でいいようにしてくださる!」
彼はいつになく晴れ晴れとした気持になった。それに昼間の労れもあって、そのままぐっすり寝こんでしまった。
十
明くる朝眼を覚した時は、またいつもの小平太になっていた。けれども、昨夜立てた誓いを守って、どこへも出まいと思った。そうだ、俺はどこへも出なければいい。そして、安兵衛と勘平の後に喰っついてさえいれば間違いはない、大義を衍るような恐れは断じてない。そう思って、彼は一日じゅう宿に引籠っていた。そして、その日は何事もなく過ぎた。
ところが、四日の朝になって、思いも寄らぬ通知が頭領の手許から一般に達せられた。それは、来る六日には、将軍家がお側御用人松平右京太夫の邸へお成りになる旨、不意に触れだされた。それによって、吉良家でも当日の茶会を御遠慮申しあげることになったについては、五日の夜と極めた一条も自然延期せずばなるまい。