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しじゅうねんまえのふくろだのたき
四十年前の袋田の瀑
木暮 理太郎
線上閱讀木暮 理太郎《四十年前の袋田の瀑(しじゅうねんまえのふくろだのたき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 4,049 字 · 8 頁
其中に長々と手足を伸ばして浸りながら、暗い地の底から長い道中を終えて地表におどり出た新鮮でエネルギッシュな湯に皮膚を撫でられていると、快い感触にうっとりと気も遠くなる、これでこそ温泉なのだ。この頃流行のタイル張りの浴室も結構ではあるが、有り余ると想われる豊富な温泉を、沸し湯ででもあるようにケチ臭く溜めた小さい湯槽はどうしたことか、これは温泉の使命を知らぬ者のさかしらわざという可きで、真に温泉を楽しもうとする人には気の毒千万であり、また温泉に取ってもさぞ不満なことであろうと同情したくなる。但し目的は温泉に非ずというならば、これ路傍の人、また何をかいわんや。
温泉は自然のままで浴するのが本来の使命にかなっている。鐘釣温泉の岩洞や西山温泉の岩の浴槽はいい、稍や之に近いものに法師温泉がある。苗場山下の赤湯は、河原と海渚との相違はあるが、別府の海地獄と同じように地を掘ってそこに湛えて湯に浸る最も原始的な方法によっている。高い山の湯では白馬温泉又は仙人の湯などが挙げられる。其他余り名を知られていない斯様な温泉は各地に多いので、自然を愛する人々の間に喜ばれているが、それも交通不便な間だけで、少し便利になると、俄に都会の陋習にのみ感染して、如何したら儲かるかということしか考えていないらしいのは感心し難い。