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もぐらとらくばん
土鼠と落盤
黒島 伝治
線上閱讀黒島 伝治《土鼠と落盤(もぐらとらくばん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 17,823 字 · 36 頁
門鑑は、外から這入って来る者に対して、歩哨のように、一々、それを誰何した。
昔、横井なに右衛門とかいう下の村のはしっこい爺さんが、始めてここの鉱山を採掘した。それ以来、彼等の祖先は、坑夫になった。――井村は、それをきいていた。子も、孫も、その孫も、幾年代か鉱毒に肉体を侵蝕されてきた。荒っぽい、活気のある男が、いつか、蒼白に坑夫病た。そして、くたばった。
三代目の横井何太郎が、M――鉱業株式会社へ鉱山を売りこみ、自身は、重役になって東京へ去っても、彼等は、ここから動くことができなかった。丁度鉱山と一緒にM――へ売り渡されたものゝ如く。
物価は、鰻のぼりにのぼった。新しい巨大な器械が据えつけられた。選鉱場にも、製煉所にも。又、坑内にも。そして、銅は高価の絶頂にあった。彼等は、祖父の時代と同様に、黙々として居残り仕事をつゞけていた。
大正×年九月、A鉱山では、四千名の坑夫が罷業を決行した。女房たちは群をなして、遠く、東京のT男爵邸前に押しよせた。K鉱山でもJ鉱山でも、卑屈にペコ/\頭を下げることをやめて、坑夫は、タガネと槌を鉱山主に向って振りあげた。