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ちていせんしゃのかいじん

地底戦車の怪人

海野 十三

線上閱讀海野 十三《地底戦車の怪人(ちていせんしゃのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 55,000 字 · 111 頁

青空文庫

この物語は、西暦一千九百五十年に、はじまる。

すると、昭和の年号でいって、昭和二十五年にあたるわけである。

今年は、昭和十五年だから今から、丁度十年後のことだ、と思っていただきたい。 作者しるす

極南へ

アメリカの貨物船アーク号は、大難航をつづけていた。

船は、あと一日で、目的の極地へつくはずになっていたが、あいにく今になって、猛烈な吹雪に見舞われ、船脚は、急にがたりとおちてしまった。この分では、とても、あと一日で、めざす極地の新フリスコ港に入るのはむずかしくなった。

なにしろ、極寒の地帯における吹雪ときたら、そのものすごいことは、ちょっと形容のことばが見つからないくらいだ。

時は今、極地一帯は、白夜といって、夜になっても太陽が沈まないで、ぼんやり明るい光がさしているのであったが、とつぜん一陣の風とともに、空は、墨をながしたように、まっくらになり、とたんに天から白いものがおちだしたかと思うと、まもなくあたりは白壁の中にぬりこめられたようになって、すぐ前にいる水夫の姿が、全く見えなくなり、階段がどこにあったか、ロープがどこに積んであったか、わけがわからなくなる。