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こうふ

坑夫

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《坑夫(こうふ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,690 字 · 283 頁

青空文庫

「違ねえ」

と一人が云い出すのを相図に、みんなどっと笑った。自分はこの笑の中に包まれながら、どうしても笑い切れずに下を向いてしまった。見ると膝を並べて畏まっていた。馬鹿らしいと気がついて、胡坐に組み直して見た。しかし腹の中はけっして胡坐をかくほど悠長ではなかった。

その内だんだん日暮に近くなって来る。時間が移るばかりじゃない、天気の具合と、山が囲んでるせいで早く暗くなる。黙って聞いていると、雨垂の音もしないようだから、ことによると、雨はもう歇んだのかも知れない。しかしこの暗さでは、やっぱり降ってると云う方が当るだろう。窓は固り締め切ってある。戸外の模様は分りようがない。しかし暗くって湿ッぽい空気が障子の紙を透して、一面に囲炉裏の周囲を襲って来た。並んでいる十四五人の顔がしだいしだいに漠然する。同時に囲炉裏の真中に山のようにくべた炭の色が、ほてり返って、少しずつ赤く浮き出すように思われた。まるで、自分は坑の底へ滅入込んで行く、火はこれに反して坑からだんだん競り上がって来る、――ざっと、そんな気分がした。時にぱっと部屋中が明るくなった。見ると電気灯が点いた。