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こうふ

坑夫

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《坑夫(こうふ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,690 字 · 283 頁

青空文庫

しかし上りになると、全く反対で、ややともすると、身体が後へ反れる。反れた重みは、両手で持ち応えなければならないから、二の腕から肩へかけて一段ごとに余分の税がかかる。のみならず、手の平と五本の指で、この〆高を握らなければならない。それが前に云った通りぬるぬるする。梯子を一つ片づけるのは容易の事ではない。しかもそれが十五ある。初さんは、とっくの昔に消えてなくなった。手を離しさえすれば真暗闇に逆落しになる。離すまいとすれば肩が抜けるばかりだ。自分は七番目の梯子の途中で火焔のような息を吹きながら、つくづく労働の困難を感じた。そうして熱い涙で眼がいっぱいになった。

二三度上瞼と下瞼を打ち合して見たが、依然として、視覚はぼうっとしている。五寸と離れない壁さえたしかには分らない。手の甲で擦ろうと思うが、あやにく両方とも塞がっている。自分は口惜くなった。なぜこんな猿の真似をするように零落れたのかと思った。倒れそうになる身体を、できるだけ前の方にのめらして、梯子に倚れるだけ倚れて考えた。休んだと註釈する方が適当かも知れない。ただ中途で留まったと云い切ってもよろしい。