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うもれたにほん

埋もれた日本

和辻 哲郎

線上閱讀和辻 哲郎《埋もれた日本(うもれたにほん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 21,399 字 · 43 頁

青空文庫

とは言えぬのであるが、しかし彼の名はまだ心敬には聞こえていなかったかもしれぬ。禅においては、一休和尚(一三九四―一四八一)がこの時にまだ生きていた。心敬はこの人を、行儀、心地ともに独得の人としてほめている。よほど個性の顕著な人であったのであろう。そうしてこの禅の体得ということも、日本文化の一つの特徴として、今でも世界に向かって披露せられている点である。そうしてみると、これらの三つの点だけでも、応永時代は延喜時代よりも重要だと言わなくてはなるまい。

もっとも、この三つの点以外であげられている名人は、我々にはちょっと歯の立たない連中である。詩人では南禅寺の惟肖和尚が、二、三百年このかた、比べるもののない最一の作者とされている。平家がたりでは、千都検校が、昔より第一のもの、二、三百年の間に一人の人である。碁うちでは、大山の衆徒大円。早歌では、清阿、口阿。尺八では、増阿。いずれもその後に及ぶもののない無双の上手とされている。我々には理解のできない問題であるが、諸道の明匠が雲のごとく顕われていた応永、永享の時代を飾るに足る花なのであろう。

ところで、そういう時代の思想界から誰を代表者として選ぶかということになると、やはり一条兼良(一四〇二―一四八一)のほかはないであろう。