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ほうおんき
報恩記
線上閱讀芥川 竜之介《報恩記(ほうおんき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 14,803 字 · 30 頁
わたしは余り不意だったため、お父さんの姿を見るが早いか、相手の曲者を突き放したなり、高塀の外へ逃げてしまいました。が、雪明りに見た相手の姿は、不思議にも雲水のようでしたから、誰も追う者のないのを確かめた後、もう一度あの茶室の外へ、大胆にも忍んで行ったのです。わたしは囲いの障子越しに、一切の話を立ち聞きました。
「お父さん。北条屋を救った甚内は、わたしたち一家の恩人です。わたしは甚内の身に危急があれば、たとえ命は抛っても、恩に報いたいと決心しました。またこの恩を返す事は、勘当を受けた浮浪人のわたしでなければ出来ますまい。わたしはこの二年間、そう云う機会を待っていました。そうして、――その機会が来たのです。どうか不孝の罪は勘忍して下さい。わたしは極道に生れましたが、一家の大恩だけは返しました。それがせめてもの心やりです。……」
わたしは宅へ帰る途中も、同時に泣いたり笑ったりしながら、倅のけなげさを褒めてやりました。あなたは御存知になりますまいが、倅の弥三郎もわたしと同様、御宗門に帰依して居りましたから、もとは「ぽうろ」と云う名前さえも、頂いて居ったものでございます。