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しおをのせたふね
塩を載せた船
小川 未明
線上閱讀小川 未明《塩を載せた船(しおをのせたふね)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 5,881 字 · 12 頁
主人というのは、顔つきの四角な人でして、がみがみと小僧をしかっていました。小僧は汚れた白い上着を着て働いていました。顔色が青くて、体がやせて目ばかり大きく飛び出ていました。
「おまえは、どこから雇われてきたのか?」と、若者はたずねますと、小僧は、大きな目に、いっぱい涙をためて、
「私には、お父さんがありません。お母さんもありません。ただ一人の妹がありましたが、いまは、どこにいるか知らないのです。」と答えた。
目がさめると、それは夢でありました。けれど若者は、小僧の顔が、目についていてどうしても離れませんでした。
「私には、弟も、妹もないはずだ。」
彼は、終日、昨夜の夢を思い出して考え込んでいました。
二、三日すると、彼は、また、不思議な夢を見ました。
ある工場で、まだ十三、四の少女が、下を向いて糸を採っていました。すると、いつか夢で見たことのある理髪店の主人よりは、もっと、恐ろしい顔つきをして、黒い洋服を着た、脊の高い男が、ふいに少女をむちでなぐりました。
「なにを、ぐずぐずしているのか!」
少女は震えあがりました。そして、真っ赤な顔をして、泣きながら、せっせと糸を採っていました。