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しおばな
塩花
豊島 与志雄
線上閱讀豊島 与志雄《塩花(しおばな)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,421 字 · 25 頁
山口はなにか病的な印象を受けた。それも瞬間で、彼女はまた、皮膚が薄くそして固い感じの顔容に戻り、額と鼻とが依怙地に白々しく、美しい手先が器用に芋を裏返し、桃色の爪がちらちら光った。
防空壕の跡らしい黒い庭土、こんもりとした庭木、黄葉しかけてる高い銀杏の樹、ちらちら見える家並、その向うの焼け跡らしい広い空間、どこからか聞えてくる雀の声、それらに、太陽の光がいちめんに降りそそいでいた。
山口は男性らしい微笑を意識しながら、干し芋を裏返してる彼女に話しかけた。
――吉村氏のような文学者と彼女が交際してるのは、大変床しい立派なことであり、今後の日本婦人は、知情意全般に亘る教養を高めなければならないので、彼女などもその方面に大に働いて貰いたい。今度出来た自分たちの政党は、知識階級を背景とするもので、婦人参政権を主張する恐らく唯一の政党であろう。戦争中に於ける婦人の働きを知る者は、今後の政治に於ける婦人の力を高く評価している。だから、彼女のような知識層の若い婦人たちには、その活動分野が広く開かれているし、彼女たち自ら進んで、その活動分野を利用しなければいけない、それが充分に利用されるように、吾々も力をつくすつもりでいるし、殊に……。