輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
なつのはな
夏の花・心願の国
原 民喜
線上閱讀原 民喜《夏の花・心願の国(なつのはな)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,816 字 · 310 頁
新聞によれば、七十五年間は市の中央には居住できないと報じているし、人の話ではまだ整理のつかない死骸が一万もあって、夜毎焼跡には人魂が燃えているという。川の魚もあの後二三日して死骸を浮べていたが、それを獲って喰った人間は間もなく死んでしまったという。あの時、元気で私達の側に姿を見せていた人達も、その後敗血症で斃れてゆくし、何かまだ、惨として割りきれない不安が附纏うのであった。
食糧は日々に窮乏していた。ここでは、罹災者に対して何の温かい手も差しのべられなかった。毎日毎日、かすかな粥を啜って暮らさねばならなかったので、私はだんだん精魂が尽きて食後は無性に睡くなった。二階から見渡せば、低い山脈の麓からずっとここまで稲田はつづいている。青く伸びた稲は炎天にそよいでいるのだ。あれは地の糧であろうか、それとも人間を飢えさすためのものであろうか。空も山も青い田も、飢えている者の眼には虚しく映った。
夜は燈火が山の麓から田のあちこちに見えだした。久し振りに見る燈火は優しく、旅先にでもいるような感じがした。食事の後片づけを済ますと、妹はくたくたに疲れて二階へ昇って来る。