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かじつしょうみ
夏日小味
北大路 魯山人
線上閱讀北大路 魯山人《夏日小味(かじつしょうみ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 1,845 字 · 4 頁
錦木――京の木屋あたりで流連でもしたご経験のある方なら、先刻ご存じのもの。宵の遊び疲れで、夜の明けたのも知らず、昼近くなって、やっと重い頭を持ち上げ、
蒲団着て寝たる姿や東山
目前に加茂川の清い流れのせせらぎを耳にしつつ、どうやら眼の覚めて、用意の控えの座敷に直ったとき、にこにこ、ぞろぞろ這入ってきた紅裙さんたちの年頭が言う、
「お早うさん……」
の次は、直ちに、
「今朝、なんでまま(御飯)おあがりやす。今日は、あっさりと、錦木でままおあがりやすな」
とくる。この錦木でまま食べて、はじめて、ために心気爽然となるちょう代物なのである。
上等のかつおぶしを、せいぜい薄く削り、わさびのよいのをネトネトになるよう細かく密におろし、思いのほか、たくさんに添えて出す。で、これが食い方は、両方適宜に自分の皿に取り、ざんぐりと箸の先で混ぜて醤油を適量にかけ、それを炊きたての御飯の上に載せて、口に放り込めばよいのである。同時にアッと口も鼻も手で押えて、しばし口もきけないようなのが錦木の美味さである。この場合、浅草のりなぞを混ぜてもよいが、むしろそれは野暮であろう。最高の錦木とは、上等のかつおぶしの中心である赤身ばかりを薄く削ること、太いよいわさびを細かいおろし金で密におろすこと。