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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
線上閱讀島崎 藤村《夜明け前(よあけまえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 105,172 字 · 206 頁
おそらく、自分はこのとおり愚かしいと言われたであろうと彼には思われた。それにしても、本居父子の本領は別にある。宣長翁にあっては、深い精神にみちたものから単なる動物的なものに至るまで――さては、源氏物語の中にあるあの薄雲女院に見るような不義に至るまでも、あらゆる相において好色はあわれ深いものであった。いわゆる善悪の観念でそれを律することはできないと力説したのが宣長翁だ。彼なぞの最も知りたく思うことは、いかにしてあの大先輩がそれほどの彼岸に達することができたろうかというところにある。その心から彼はあの『玉の小櫛』を書いた翁を想像し、歴代の歌集に多い恋歌、または好色のことを書いた伊勢、源氏などの物語に対する翁が読みの深さを想像し、その古代探求の深さをも想像して、あれほど儒者の教えのやかましく男女は七歳で席を同じくするなと厳重に戒めたような封建社会の空気の中に立ちながら、実に大胆に恋というものを肯定した本居宣長その人の生涯に隠れている婦人にまでその想像を持って行って見た。
しかし、半蔵が教部省を去ろうとしたのは、こんな同僚とのいきさつによるばかりではない。