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ゆめとぶんげい

夢と文芸

柳田 国男

線上閱讀柳田 国男《夢と文芸(ゆめとぶんげい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,051 字 · 14 頁

青空文庫

そうして今とても之を疑い得る者は無いのである。ただ其解釈が国により時代により、又経験の狭さ広さによって、群毎に甚だしく区々であっただけである。我々の親たちは霊の自由を信じて、身がらが無為の境に休息して居る間に、心は外に出て色々の見聞をして来るものと思い、又未知の世界からの音信に接することが、出来るものとも思って居た。従って平凡なる社会の光景に触れても、それは看過し聴きのがして語り伝えようと努めないが、何か思いもうけぬ異常の夢であった場合には、其印象が遙かに我々の受けるよりは強烈であって、通例は是を次に起るべき事件の、予報の如くにも解して居たのである。外部の或力が時あって之に干与するものの如く、信じて居た点が今日とは異なるが、それも亦何れが正しいのか、未だ必ずしも確定はして居ない。人をして夢みしむる不思議の力を、或は枕神と謂って居る土地もある。そうで無くとも日頃の神仏に願を掛けて、進んで夢を念じ夢を待ち、それが応験の有った場合も多かったことは、前期の文芸に親しむ程の人は皆知って居る。それが悉く現代に於ては排斥せられて居るのである。たまたま父祖と同じに夢を見て喜憂する者があろうとも、之を表白して其兆候の適中するか否かを、試みようとする人は殆と無くなった。