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おおいがわおくやまのはなし

大井川奥山の話

木暮 理太郎

線上閱讀木暮 理太郎《大井川奥山の話(おおいがわおくやまのはなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 9,724 字 · 20 頁

青空文庫

の山に達せられるのとは違って、どの方面から登るにしても困難が多い為に流行から取残されたものであろう。山に取っては夫が反て勿怪の幸といわねばならぬ。

私が大井川奥山(大井川最奥の部落である田代の人々は、上流の山々を奥山と総称している)の縦走を試みたのは、大正三年の夏であって、私より二年前の明治四十五年七月に、友人中村清太郎君が最初の縦走を為してから、まだ漸く二人目であったのは、一般登山者の目を附けない山を狙う人の多かった時分としては、寧ろ意外にも思われたのである。

私の計画は大井川の支流信濃俣を遡って駿信の国境山脈に登り、夫から尾根伝いに北方小河内岳を踰えて三伏峠に至り、釜沢に下って大河原に出るのが目的であったから、田代を出発点とするのが便利であった。田代へは静岡から大日峠を踰えて行くのが最も近道であるが、私は序に白峰山脈の南の端にある青薙山に登って、東河内の谷から田代へ下ろうと慾張った為に、鰍沢から舟で富士川を下り、飯富に上陸して早川の支流雨畑川に沿い、雨畑村に行き、青薙山の案内者を探したが適当な人が無い、それで止むなく断念して、山伏峠というのを踰えて田代へ来た。