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おおとりものせんにんつぼ

大捕物仙人壺

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《大捕物仙人壺(おおとりものせんにんつぼ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 47,606 字 · 97 頁

青空文庫

「ほんとに紫錦をいじめる気か?」

「二枚の舌は使わねえよ」

「ほんとに居場所を知ってるのか? え、紫錦の居り場所を?」

「二枚の舌は使わねえよ」

「それじゃどうも仕方がねえ」じっと「爺つあん」は考え込んだが、

「云うとしよう、在り場所をな」

「おお云うか、それはそれは」文はニタリと北叟笑みをしたが、「どこにあるんだ、え、手箱は」

「その代り手箱を手に入れたら、きっと紫錦からは手を引くだろうな」

「云うにゃ及ぶだ、手を引くとも。元々あの娘を抑えたのは、その手箱が欲しかったからさ。いわば人質に取ったんだからな。……で、手箱はどこにあるな?」

「よく聞きねえよ、その手箱はな……」

「おっと、云っちゃいけねえ!」突然こう云う声がした。

驚く二人の眼の前へ、襖をあけて現われたのは、他でもないトン公であったが、頭を白布で巻いているのは、傷を結えたからであろう。

「おお親方、久し振りだね」まず文へ挨拶をした。

「や、手前、トン公じゃねえか!」文は憎さげに怒鳴り声をあげ「福助の出る幕じゃあねえ、引っ込んでろ!」

「そいつはいけねえ、いけねえとも、お生憎さまだが引っ込めねえ」負けずにトン公はやり返した。