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おおとりものせんにんつぼ

大捕物仙人壺

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《大捕物仙人壺(おおとりものせんにんつぼ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 47,606 字 · 97 頁

青空文庫

支那製か南蛮製だ」

「マアさようでございますか」お錦も興味を感じてきた。

「ひとつ、開けて見ましょうかな。おおここに鍵穴がある。さて鍵だがお持ちかな?」

「ハイ、うちにならございます」

「では明日にでも持って来て、ともかくも開けて見ましょうかな」

「そういうことに致しましょう」

ここで話がちょっと切れた。

もう夕暮に近かった。庭の築山では吉野桜が、微風にもつれて散っていた。パチッ、パチッと音のするのは、泉水で鯉が躍ねるのであった。

何気なくお錦は庭を見た。往来と境の黒板塀にかなり大きな節穴があったが、そこから誰か覗いていると見えてギラギラ光る眼が見えた。

「あれ!」とお錦の叫んだ時には、もうその眼は消えていた。

15

やがて夕暮がやって来た。お暇をしなければならなかった。充分の未練を後へ残し、お錦は駕籠で帰って行った。

「よこしまの美であろうとも、美人はやっぱり好ましいものだ」

義哉はこんなことを想いながら、部屋に残っている脂粉の香に、うっとりと心をときめかした。

思い出して三味線を取り上げると、さっきの続きを弾き出した。

※(歌記号、1-3-28)雁がとどけし玉章は、小萩のたもとかるやかに、へんじ紫苑も朝顔の、おくれさきなるうらみわび……