輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 145,722 字 · 286 頁
と、これが日蓮自身の名乗りなのです。この名乗りを真向にかざして、一世を敵にして戦いをいどみました。日本という国は、幸か不幸か系図を貴ぶ国柄で、たとえば征夷大将軍になるには、どうしても源氏の系統をこしらえなければならず、たまたま土民の中、乞丐の間から木下藤吉郎のような大物が生れ出でても、その系図の粉飾には苦心惨憺したものです。人間をかざるものが主となって、人間そのものが従になるのです。ですから後光と肩書があって初めて人間が光るので、人間そのものの本質を、泥土の中から光らせるという本当の人間がありません……そこへ行くと日蓮は巨人です、日蓮にもったいらしい系図書をくっつけたのは、みな後人の仕事で、日蓮自身の遺文のどこを読んでみても、おれの先祖は誰々だと誇張したところは一カ所もないのです。私は、小湊、荒海、天津、妙の浦あたりの浜辺に遊んでいる真黒なはなたらしの漁師の子供を見るたびに、聖日蓮ここにありと、いくたび感激の涙をこぼしたか知れません。万代不朽の精神界の仕事をする人にとっては、徹底的の卑賤の出身が、どのくらい幸福であるか知れないということを、特に日蓮において、私は衷心にきざまれました……徹底的のところには、すべての人間相が、少しも姿を隠さずに、眼前に現われて来ます、誰も荒海の漁師の子に、阿媚と諂佞を捧げる