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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 145,722 字 · 286 頁
ここでは規定の神社参拝のほかに、熊谷蓮生坊の菩提寺なる熊谷寺に参詣をしようと、二人が町並を歩いて行くと、一つの芝居小屋がありました。
おびただしく市川某の幟を立てた芝居小屋の前を通ると、小屋の窓から首を出していた一人の気障な男を道庵先生が見て、
「あれ……あれは水垂のげん公様じゃねえか」
といって、ちょっと足を停めました。
水垂のげん公というのは、江戸ッ児気取りで、人を見ると二言目には百姓といいたがる気障な奴で、そうかといって、当人は芝居の台本を作るだけの頭はなく、劇評をするだけの腕もなく、演芸の風聞を聞きかじっては、与太を飛ばしたり、捏造をしたりして得意がっているが、それも旧式の下品な半畳で、とても今時の表へ出せる代物ではないが、ある大劇場に長くいた年功で、鼻ッぱしが強く、江戸ッ児をその鼻の先にかけているのですが、もし、勝海舟や栗本鋤雲あたりを江戸ッ児の粋なるものとすれば、この水垂のげん公の如きは、下等な江戸ッ児の見本でしょう。その意味で道庵先生が知っているのです。
大宮から上尾へ二里――上尾から桶川へ三十町――桶川から鴻の巣へ一里三十町――鴻の巣から熊谷へ四里六町四十間。