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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 159,272 字 · 313 頁

青空文庫

こうなると神尾主膳の野性が、酒ならぬものの勢いに煽られて、さながら、酒に魅せられた酒乱の時の本能が露出し、手に当る金銀のほか、包みのままで引出した封金をも、わざと荒らかに封を切って投げ出したものですから、その、燦爛たる光景はまた見物です――大にしては紀文なるものが、芳原で黄金の節分をやった時のように。小にしては梅忠なるものが、依託金の包みを切って阿波の大尽なるものを驚かした時のように――放蕩児にとっては、人の珍重がるものを粗末に扱うことに、相当の興味を覚えるものらしい。神尾主膳も取っては撒き、取っては散らしているうちに、ついに撒き散らし、投げ散らすことに興味が加速度を加えたらしく、狂暴の程度で働き出している。

お絹もまた、拾えば拾うほどに、集めれば集めるほどに、そのこと自身に興味を煽られてしまっている。ここには、紀文の時のように、吾勝ちに争う幇間末社の類もなし、梅忠の時のように、先以て後日の祟りというものもないらしい。あったところでそれは相手が違うし、第一、自分が直接の責任者ではなく、いわば神尾を煽て骨を折らせ、自分は濡手で掴み取りをしているだけの立場なのだから、お絹としては大放心で、吾を忘れるのも無理があるまい。