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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 159,272 字 · 313 頁
「ばかにしてやがらあ……」
といって米友が横を向くと、
「だけれど、強いなあ、お前さんは強い人だなあ――なりは小さいけれど、身体が締ってらあ――」
と讃美の声を上げるものもありました。米友は、もう横を向いたきりで取合わないでいると、女がいきなり立って行って、
「ただでは見せて上げないよ」
といって、高いところの窓を、ハタと締め切ってしまいました。
「そりゃ、あんまり胴慾な……」
「お玉さん、お湯の中で水入らずに、しっかりみがいてお上げよ」
窓を締められた弥次は、暗いところでなお騒々しい。
その時、米友は立ち上って、
「もういいよ、おいらは湯から上っちまわあ」
弥次のうるさいのに堪えられなくなったのでしょう。ぷりぷりしながら立って風呂へ入り、首だけを出し、思わず女の姿を眺めていたが、急に、
「あ……お玉!」
と言って舌をまきました。
米友が渾身から驚いたのは、この女の面影がお玉に似ていたからです。名をさえそのままでお玉というのは……いうまでもなく間の山以来のお君の前名でありました。その米友の異様な叫び声を聞いた女は、こちらを向いて、嫣乎と笑い、
「あら、もう、わたしの名を覚えて下すったの、嬉しいわ」