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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 74,962 字 · 145 頁

青空文庫

兵馬は、それを聞くと早速に、教えられた通り代官屋敷の道場を叩いてみると、その時に、もはや戞々として竹刀打ちの最中でありました。

その音を聞くと勇みをなして、兵馬は玄関から正当に案内を申し入れ、型のごとく出て来た取次の用人に向って、自分が武者修行の旅行中のもので、御英名を慕いて推参したということ、兼ねて「英名録」や、その他旗本の要路の紹介免許状等が口をきいて、一議もなく、快き諒解の下に、

「暫くお控え下さい」

次の案内を、兵馬が玄関先で暫く控えて待っている間、この代官屋敷の奥の一方で、しきりに三味線の音と陽気な唄の声が立上るのを聞き、兵馬は一種異様の感を起さないわけにはゆきません。

庭前では、道場を開放して四民の間に武術を奨励するかと見れば、奥の間ではしきりに三味線の三下り、それも、聞いていれば、今時のはやり唄、

紺のぶっさき

丸八かけて

長州征伐おきのどく

イヨ、ないしょ、ないしょ

もり(毛利)ももりじゃが

あいつ(会津)もあいつ

かか(加賀)のいうこときけばよい

イヨ、ないしょ、ないしょ

の調子で、荒らかに三味線をひっかき廻し、興がっている。

それを聞いて兵馬が興ざめ顔になったのも無理がありません。