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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 254,021 字 · 495 頁

青空文庫

は落着ききれないものがあると見え、どうしても一歩一歩と高きを下らざるを得なくなって、ついに人垣の後ろへ立って、いちぶしじゅうを見届けることになりました。

臨時予審廷といったようなものが、渡頭の上の茶店の内から外へ溢れて行われているのですが、ちょうど今、ようやく訊問がはじまろうとする時でした。役人が家の中の床几に腰をかけて、川破りの男がその前の土間に突立っている。

「君はドコから来た」

役人は、土地の船頭共のように甚しい土音は用いないで、まず通常の標準語で問いかけると、川破りもまたこれに準じた言葉で、

「南部から来申した」

「南部のどこから来た」

「恐山から」

「恐山? 恐山に住んでいたのか」

「八戸の生れだが、恐山に修行していた」

「何の修行を?」

「何ということなく、あの山で修行をしていた」

「八戸に生家がござるのか」

「ござる」

「身分は――」

「父はお山改めだ」

「そうして君は?」

「その二男だ、上には兄貴があって、下には妹がある」

「ふーむ、それが、この地方へ何しに来たのだ」

「江戸へ行こうと思ってやって来たのだ」

「江戸へ、何の目的で?」

「何の目的ということはないが、江戸は天下の膝元ということだから、そこで修行をしたい」