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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 254,021 字 · 495 頁

青空文庫

「わしは旅に慣れているから、これでよろしい、君は慣れない身でもあり、薄着で困るだろう――」

と言って、自分の合羽をまで女の薄い蒲団の上に投げかけて与えました。

女は、いろいろとお詫びしながら、先に寝入ったのです。

この小屋は、特に木地の細工をするために建てたのですが、壁がありません。がっちりとした板囲いです。

夜もすがら室内の気温を保つ意味に於て、絶えず適当の焚火を怠りませんでした。

疲れが出たものか、女はすやすやと寝入ったようです。

兵馬としては、こういう旅の宿りは今にはじまったことでないが、ただ気がかりになるのは前途のことです。およそ白山、白水谷を越えて、飛騨の国から、加賀へなり、越中へなり、出ようとする道は、道であって道でない。

こういう道を踏み破ることは、自分はあえて意としないが、この女連れだ。この女は、こうして行けばひとりでに白山へも登れるし、金沢へも出られると心得ているらしいが、さて、明日からの旅の実際の味を嘗めさせられてみると、へたばるのはわかりきっている。今晩はここで宿があったからいいが、明日の晩からの宿りは当てがないのだ。

よし、明日になったら、ひとつ案内人を求めてみよう。