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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 254,021 字 · 495 頁
来たのは、どうも穏かでない空気があって、その穏かでない空気は、お角親方の一行に、微塵も好意を持っていない一まきであることがわかります。
これは果して推察の通りで、道中筋から上方にかけて、最初から、道庵の西上を喜ばぬものがあり、お角の乗込みに鬼胎を抱いている一味があったのです。
幕末維新の前後は、名分から言えば勤王と佐幕の争いでありましたが、地理的に言えば関東と関西との勢力の争いであるし、もう少し遡ると、大阪へ定めた豊臣の勢力と、江戸へ奪って(?)しまった徳川の勢力に対する三百年間の因縁がある。政治的には関東へ取られたが、経済的には、実力的には……文化的には、曰く、何々、関以西のある一角には、絶えずその対抗意識が含まれていたものと見れば見られる。いわば、関ヶ原以来の遺恨角力が、王政維新のあたりまで、まだじゅうぶん根を持っていると見れば見らるべき事情はあるのであります。
西と言い、東と言い、ひとしくこれ万世一系の聖天子の王土であるが、そこは凡夫の浅ましさ、事毎に、多少の対抗意識の現われることは、笑止千万と言わねばならないが、ことに笑止千万なる一つの実例は、この道庵と、お角とを、只では京大阪の地を踏ませまいという、一味の通謀策略の如きであります。